HVACについての考察 — 換気のさまざまな利点

換気とは、建物の内外の空気を入れ替え、室内の空気汚染濃度を低減し、人の健康を維持することです。その性能は、換気量、換気回数、換気頻度などで表されます。

室内で発生または室内に持ち込まれる汚染物質には、二酸化炭素、タバコの煙、埃、建材・スプレー・消臭剤・接着剤などの化学物質、カビ、ダニ、ウイルスなどがあります。一方、室外の空気汚染物質には、排気ガス、花粉、PM2.5(直径2.5マイクロメートル以下の粒子状物質)、煤煙、黄砂、亜硫酸ガスなどがあります。換気は、外気が汚染されていないことを前提としています。外気に汚染物質が含まれている場合は、換気を行うかどうかの判断が必要です。

建物の換気を左右する基本要素は、外気量、外気質、そして気流の方向の3つです。これら3つの基本要素に基づき、建物の換気性能は、1) 十分な換気量が得られていること、2) 室内全体の気流がクリーンゾーンからダーティーゾーンへ向かっていること、3) 外気が効率的に吹き出されていること、4) 室内の汚染物質が効果的に除去されていること、の4つの側面から評価できます。

換気の種類

自然換気は、建物の隙間や窓、吸排気口などから空気が出入りして換気するもので、外の風の影響を大きく受けます。

各国・地域の換気基準を満たすには、自然換気に加えて機械換気が必要となります。

機械換気はファンシステムによる換気であり、バランス方式、熱回収バランス換気方式、排気方式、給気方式などの方式が採用されています。

バランス換気は、ファンシステムを用いて給気と排気を同時に行うため、計画的な換気が可能であるのが特長です。熱交換機能を追加することで、熱回収機能を備えたバランス換気を容易に実現できるため、多くの住宅メーカーが採用しています。

排気換気は、ファンシステムを用いて空気を排出するとともに、通気口や隙間などからの自然給気も利用します。一般住宅ではこの方式が多く採用されており、特に、空気汚染、悪臭、煙などが発生するトイレやキッチンなどで多く用いられています。

給気換気は、ファンシステムを使用して空気を供給し、通風口や隙間などから自然な空気の排出を利用します。給気換気は、クリーンルーム、病院、工場、ホールなど、汚れた空気が入らない空間で使用されます。
住宅換気の一例を図2に示します。

住宅換気

機械換気には、慎重な設計、厳密なシステムメンテナンス、厳格な基準、室内環境の品質とエネルギー効率のあらゆる側面を考慮した設計ガイドラインが必要です。

 

換気、空調、気密・断熱
人々は快適な温度と湿度の環境を実現するために空調設備を利用しています。地球温暖化防止の観点から空調エネルギーの節約を図るため、建物の高気密化・高断熱化が推進され、換気損失と熱損失が低減されています。しかし、高気密・高断熱化された建物では、換気が悪くなり空気が汚れやすくなるため、機械換気が必要となります。

このように、エアコン、建物の気密・断熱、換気は、図3に示すように互いに絡み合っています。現状では、高効率エアコン、高気密・高断熱の建物、そして熱回収によるバランス換気を組み合わせることが推奨されていますが、この組み合わせを実現するためのコストが高いため、時と場所、状況に応じて優先順位を考えながら、上記3つの要素を統合していく必要があります。また、自然換気を効果的に利用するシステムの研究開発も重要であり、自然換気を上手に活用したライフスタイルが重要になるかもしれません。

換気と空調の関係

 

ウイルス対策としての換気
近年推奨されている様々な感染症対策の中で、換気は室内のウイルス濃度を希釈する最も効果的な対策として報告されています。感染者と同じ部屋に非感染者が滞在した場合の換気が感染確率に及ぼす影響について、多くのシミュレーション結果が報告されています。ウイルス感染率と換気の関係が示されています。

ウイルス感染率と換気

図4では、室内のウイルスの感染力や濃度、非感染者の滞在時間、年齢、体調、マスクの有無などによって変化はあるものの、換気量の増加に伴い感染率は低下しています。換気はウイルスに対する強力な防御力となります。

 

換気関連業界の動向
前述の通り、密閉空間における感染予防には定期的な換気が不可欠であり、これが換気関連産業の活性化につながっています。換気システムのリーディングメーカーであるHoltopは、様々な人工呼吸器を提供しています。製品に関する詳細は、こちらのリンクをクリックしてください。https://www.airwoods.com/heat-recovery-ventilator/

人間の呼吸から放出されるCO2の空間濃度は換気の有効な基準とみなされているため、CO2モニタリングセンサーの需要も高まっています。多くのCO2モニタリングセンサーが発売されており、それらを用いて空間のCO2濃度をモニタリングし、換気システムと連携させる製品やシステムが市場に投入されています。Holtopは、CO2モニター熱回収換気装置にも接続できます。

空調・換気システムとCO2濃度監視システムを組み合わせた製品は、オフィス、病院、介護施設、ホール、工場など多くの施設で導入が始まっており、新築・増築施設には欠かせないアイテムとなりつつあります。

詳細については、こちらをご覧ください:https://www.ejarn.com/detail.php?id=72172


投稿日時: 2022年6月27日

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